b型肝炎は膜性腎症につながることがある

b型肝炎ウイルスに感染した場合、悪影響が及ぶのは肝臓だけではありません。b型肝炎ウイルスに感染することで腎臓の機能が低下、膜性腎症を発症する恐れがあります。膜性腎症は悪化すると、腎不全や血栓症につながります。

そのため悪化を防ぐためには早期発見が重要です。b型肝炎・膜性腎症それぞれの特徴、症状を事前に把握し、いざという時にすぐ対処できるようにしましょう。

腎臓の働き

腎臓には血液中に含まれた成分を必要なものと不要なものに分け、血液を再びきれいにする働きがあります。血液が腎臓の糸球体を通る時、糸球体の壁から老廃物を含んだ液体が出てきます。この液体は腎臓内の尿細管や集合管を通り、やがて膀胱に運ばれていきます。

この時、尿細管や集合管では、液体に含まれた成分から身体に必要な成分を抜き出し、再び吸収しています。こうして必要な成分の再吸収が行われ、最終的には身体にとって不要な老廃物と余分な水分だけが液体に残されます。

この液体は膀胱に運ばれ、尿として体外に排出されるのです。このように腎臓は血液をろ過、きれいな状態にする一方で、不要な老廃物や水分を尿として排出する機能があります。なお尿と一緒に排出される成分の中には、余分な塩分も含まれています。

血液中に含まれる塩分の量を調節することで、血管の負荷を減らすことにつながっているのです。

膜性腎症とは

腎臓は血液をろ過し、本当に必要ないものだけを体外に排出する機能を持っています。しかし何らかの原因により腎臓の機能が低下すると、腎臓のろ過機能が低下、本来体に必要なたんぱく質も尿と一緒に排出されるようになります。

この腎臓の機能低下により尿にたんぱくが大量に含まれる状態が、ネフローゼ症候群です。ネフローゼ症候群を発症すると、血液中のタンパク質の量が減少します。血液中の塩分濃度も高くなるため、体内の組織や血管に強い負荷がかかるようになります。

ネフローゼ症候群は、血液がろ過できない原因によってさらに何種類かに分かれます。そのうちの一つが、膜性腎症です。血液は本来糸球体を通る時にろ過されます。しかし糸球体の壁に何らかの成分が沈着してしまうと、ろ過は十分に行われなくなってしまいます。

血液をこし出す機能が低下するため、体内に余分な水分や塩分が溜まり、様々な症状がみられるようになるのです。

膜性腎症の症状

膜性腎症を発症すると、本来身体に必要なはずのたんぱく質が尿に含まれるようになり、血液中のたんぱく質の量は減少します。たんぱく質には血管内に水分を留まらせる働きがあるのですが、血液中のたんぱく質の量が減少すると、その機能は低下していきます。

血管内で保つことが難しくなった水分は血管の外に出てしまいます。血管の外に出る水分の量が多くなると、むくみが見られるようになります。膜性腎症が悪化するとむくみも悪化、肺・腹部・心臓といった臓器にも水が溜まるようになっていきます。

体内に不要な水分が多く溜まっている状態のため、体重増加も見られます。さらに血液中のたんぱく質の量が減少するとコレステロール値が上昇、血管に負荷がかかり血栓症を併発する恐れがあります。

血管に血栓ができると血液の流れが悪くなるため、皮膚の色の変化、痛み等が生じます。

膜性腎症の治療法

膜性腎症を発症すると、尿にたんぱく質が含まれるようになり、血液中のたんぱく質が減少、むくみなどの症状が現れるようになります。症状の悪化を抑えるためには早期治療が重要です。膜性腎症の場合、対症療法、原因治療、補助療法の3つを併用しながら治療を行っていきます。

まず対症療法とは、疾患によって生じた症状をコントロールするために行われる治療方法です。膜性腎症の場合、むくみが主な症状となるため、むくみを抑えるための治療を行います。具体的には塩分制限や利尿剤の投与等が行われます。

ただし対症療法の場合、あくまでも症状を軽減させるための治療法です。根本的な改善のためには、原因を取り除く必要があります。そこで行われるのが原因治療です。膜性腎症の場合、原因不明な場合と原因が分かっている場合があります。

原因が既に分かっている場合はステロイド剤を投与するなどして、原因を取り除いてきます。また膜性腎症がある程度悪化している場合、高血圧・血栓症などを抱えている場合があります。その場合はそれ以上悪化しないよう、補助療法が行われます。

例えば高血圧症の方に対しては血圧を下げる薬を投与し、血栓症の恐れがある方に対しては血液が固まりにくくなる薬を投与していきます。

膜性腎症の原因

膜性腎症は糸球体の壁に何らかの物質が沈着することで、ろ過機能が低下した状態を指します。膜性腎症を引き起こす原因となるものは、自己免疫疾患・悪性腫瘍・薬剤・感染症の4種類に分かれます。このうち感染症は、ウイルスや細菌が腎臓の壁に付着、抗体がウイルスや細菌を倒そうとする過程で抗体も一緒に沈着した状態を指します。

この感染症には様々な種類がありますが、その中のひとつとして挙げられるのが、b型肝炎です。

b型肝炎とは

b型肝炎ウイルスは体内に侵入すると、肝臓内で繁殖を始めます。すると免疫機能がb型肝炎ウイルスに対して攻撃し始め、肝臓に炎症が起こるようになります。この炎症が起こり、肝臓の機能が一時的に低下した状態がb型肝炎です。

b型肝炎になると食欲不振・嘔吐・黄疸・褐色尿といった症状が現れますが、多くの場合数週間すると症状は自然に治まります。

しばらくすると体内でb型肝炎ウイルスの抗体が作られるからです。一度体内で抗体が作られると、その後症状は見られなくなることが多いです。

ただし稀に慢性肝炎・肝硬変・肝がんに移行する場合もあるため、注意が必要です。

b型肝炎と膜性腎症の関係

b型肝炎ウイルスは肝臓内で繁殖、肝炎の原因となります。しかしb型肝炎ウイルスが体内にあると、膜性腎症の発症リスクも高まります。b型肝炎ウイルスは、血液中に多く含まれます。b型肝炎ウイルスに感染していると血液が腎臓の糸球体を通る際、血液中に含まれたb型肝炎ウイルスが糸球体の壁に付着することがあります。

すると糸球体の壁に付着したb型肝炎ウイルスに抗体が反応、b型肝炎ウイルスを倒そうとします。そうしてb型肝炎ウイルスと抗体の間で反応が起きた結果、反応物が出来上がります。この反応物が糸球体の壁の細胞に沈着することで、膜性腎症につながってしまうのです。

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b型肝炎の感染を防ごう

b型肝炎ウイルスは、膜性腎症の原因にもなります。そこで大切なのが、b型肝炎を予防することです。b型肝炎ウイルスは主に血液・体液に多く含まれています。主な感染経路としては輸血・血液が付着した道具の共有・性行為が挙げられるため、これらの感染経路をできるだけ断つことが重要です。

またb型肝炎はワクチンを接種することで感染を防ぐことができます。医療従事職など血液に触れる機会が多い場合や、海外で医療行為を受ける可能性がある場合は、事前にワクチンを接種して予防するようにしましょう。